焼酎蔵　薩摩金山蔵 （ショウチュウグラ　サツマキンザングラ）

「坑洞を生かした蔵熟成 ― 金山蔵で巡る焼酎の時間」

かつて金鉱として栄えた坑洞を活用し、年間を通じて約19℃・高湿度という理想的な環境を作り出す金山蔵。トロッコ列車で坑内を巡る見学ツアーで、蔵元独自の焼酎づくりの舞台裏を体験できます。

「黄金麹と熟成の妙味 ― 唯一無二の薩摩焼酎」

蔵が使う黄金麹（おうごんこうじ）を原料に、坑洞でじっくり熟成する独自手法。深みある香りと滑らかな飲み口、華やかな余韻が魅せる“蔵元の個性”がここにあります。

「坑道が語る“焼酎の物語” ― 薩摩金山蔵で五感を巡る旅」

鹿児島・いちき串木野市。その山手の森の中にひっそりと佇む**薩摩金山蔵（Satsuma Kinzangura）**は、金の歴史と焼酎文化が交錯する“場”です。350年以上にわたり掘り進められた総延長120km超の金山坑道。その冷涼な地下空間を使って、焼酎を熟成。坑内の環境がそのまま“蔵”となるユニークな醸造体験が、ここにあります。

この場所は、ただ酒を試す場というよりも、焼酎の根源・背景・技術を視覚・体験を通じて伝える“焼酎テーマパーク”的な役割を担います。

1. 歴史と蔵のコンセプト：金山から焼酎蔵へ

串木野金山。かつて金を産出して栄えた地が廃鉱となった後、その坑洞を焼酎の熟成庫として転用したのがこの金山蔵。坑道は地下環境が自然冷蔵庫のような役割を果たし、年間19℃前後・高湿度という理想的な熟成条件を保っています。

金山蔵は、「金山の歴史」と「薩摩焼酎の伝統」を融合させた場所。坑道の構造、坑道を利用した熟成技法、そして蔵元の思想が一体になった展示空間を歩くたびに、過去と現在が交錯する時間を感じることができます。

2. 見どころ・体験ポイント：坑道と熟成を味わう

• トロッコ列車で坑道探訪
  　蔵見学ツアーでは、トロッコ列車に乗って坑道の内部へ。坑道構造や蔵の貯蔵庫の様子、熟成する焼酎甕の並びなどを間近に見ることができます。ツアーは11:00／14:00 の一日2回運行（週末・祝日のみ）で、約8分間の乗車を含め、見学全体で約1時間。

• 熟成庫と甕の展示空間
  　坑道奥には、焼酎を寝かせる甕や樽が並びます。坑道特有の温度・湿度環境が甕内での熟成に与える作用を、目で捉えながら味わうことができます。

• 黄金麹と製法コーナー
  　蔵元が使う「黄金麹（おうごんこうじ）」という独自の麹法や、かつての蒸留技術、麹・酵母の関係などを紹介する展示。焼酎製造過程を知る学びの場です。

• 試飲・お土産蔵元コーナー
  　見学後には蔵元の焼酎を試飲できるコーナーもあります（20歳以上限定・有料コースで提供）。また、蔵独自の銘柄や限定ラベル、焼酎グッズも揃った売店「蔵乃仲見世」でお土産探しが楽しめます。

• 坑道という情景美
  　坑道の壁、石組、湿気の滲む面、薄暗がりの空気感──その空間そのものが演出。光と影、凹凸と湿度、時間が育む雰囲気を体感することも、大きな魅力です。

3. 訪問ヒント・注意点

• 予約と運行日を確認
  　坑道見学（トロッコ列車を含む）は週末・祝日のみの運行。見学を希望する日は事前予約が推奨されます。

• 時間に余裕を
  　坑道探訪＋蔵見学＋試飲・売店滞在を含めると、1時間～1時間半は確保しておくと安心です。

• 光・演出を意識した順路
  　坑道内部は暗めの照明環境なので、展示の順序や導線が重要。ガイドの案内や順路表示に従って巡ると理解が深まります。

• 服装・足元配慮
  　坑道や蔵内は湿度が高く、床が滑りやすい箇所もあるため、歩きやすく滑りにくい靴が望ましい。温度差に対応できる軽い羽織もあるとよいでしょう.

• 試飲マナーと限定年齢
  　試飲提供は20歳以上。飲酒後の運転禁止、マナーある利用を心がけましょう。

4. モデル観光プラン案

午前プラン
串木野市中心から出発 → 金山蔵到着 → 蔵見学＆坑道ツアー → 試飲と売店見学 → 昼食（地元料理） → 周辺観光へ

午後～夕方プラン
昼過ぎに入館 → 蔵ツアー → 蔵元の歴史展示・黄金麹紹介 → 試飲・お土産 → 夕暮れ前に蔵を後に → 近隣温泉や海岸などで締め

ゆとり型コース
金山蔵を拠点にして午前ゆったり見学、午後は串木野市や自然風景巡り、夜は鹿児島市などへの移動も可。

薩摩金山蔵は、金山という歴史と焼酎文化をつなぐ“時間を醸す場”です。坑道を抜け、甕と対峙し、試飲を味わう中で、「焼酎」という酒が持つ深みと背景が、自然と訪問者の記憶に刻まれていきます。鹿児島ならではの酒文化を体感したい方には、ぜひ訪れていただきたい場所です。